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    ai_glass
    愛とはまるでガラスのようなものだ、とつくづく思う。どんなに大切に扱っていても、片方の手が離れればあっという間に地に落ちて砕け散ってしまう。そして一度砕け散ってしまったら、もう元には戻れないのだ。

    私には先日まで3年間付き合った彼がいた。だけどその彼が突然「他に好きな人ができたから」という理由で私から去ってしまった。しかも他にできた好きな人、というのは、実は私の妹である。あの日、二人を部屋に二人きりにしてしまったことを、悔やんでも悔やみきれない。同棲していた私たちの部屋にはよく妹が遊びに来ていた。私と妹はまるで親友のように仲がよく、洋服やアクセサリーの貸し借りもしていたので、私達が3人で集まるようになったのは自然な流れだった。その時間が長くなると、どうしても私が席を外して彼と妹が二人きりになるという時間が出てくる。最初は二人きりになるとぎこちなかった二人だが、やがて意気投合するようになった。そんな二人を微笑ましいとさえ思っていた私は、おめでたい人間だったと今では思う。

    あの日、どうしても外せない用事が私にでき、数時間だけだからと私は一人部屋を出た。その数時間の間に何があったのかはわからないし、考えたくもない。だけど私が戻って来た時には、二人の間には前とは違うぎこちない何かがあるのを、私が気づかないはずがなかった。妹が帰った後に私が彼に問いただしたとき、彼の心を埋めていたのは私ではなく妹だということがわかった。わかってしまったのだった。

    それから砂の城が崩れるようにあっという間に私と彼の関係も終わった。結局恋人も妹も失ってしまったわけだ。だけど妹を責める気はなかった。あの日以来、一度も会っていない妹だけど、私にとってはこの世でただ一人の姉妹である。

    砕け散ったガラスの上を、私は今も裸足で歩いている。一体どこまで歩いていけば、楽になれるのかわからないまま、私は彷徨い続けるのだ。

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